下町ロケットと時間外労働

  • 2015.12.11 Friday
  • 10:26
社会保険労務士の家入です。

池井戸潤の小説「下町ロケット」がテレビドラマ化され、好調な視聴率を出しているようです。
佃率いる佃製作所が世界トップレベルの開発力・技術力を発揮し、1部ではロケットエンジンのキーパーツを開発し、成功させるというものでした。2部では心臓治療に使用する「人工弁」を開発するというドラマです。

ドラマにおいては、取引先からの無理難題やライバル会社との競争に対応していかなければなりません。それがこの物語の醍醐味であり、面白いところです。「困難を克服し勝利する。」という爽快感と感動を味わえます。


ところで、ドラマでは技術開発や納期への対応などで、従業員が徹夜して仕事している場面がみられます。これって労働法的にはどのようになるのでしょうか。

通常時間外労働をさせる場合は、36協定とよばれる労使協定を定めて届出る必要があります。原則として1ヶ月45時間、1年間で360時間となっております。1日平均2時間強になりますので、ドラマの佃製作所は対応できるでしょうか?

36協定には特別条項が付けられるので、一定の時間は延長できますが、「納期のひっ迫」「機械のトラブルへの対応」「大規模なクレームの対応」等の臨時的な事項に限られますので、それのみでの対応は難しいかもしれません。

通常、時間外労働については限度が定められていますが、新技術・新製品等の研究開発の業務は、延長限度が定められておりませんので、労使で協議の上決めることができます。しかし、この場合に青天井で決めることはできないと考えられます。心身の健康保持のためにも、1ヶ月当たり80時間以上の残業が数ヶ月におよぶ状況、もしくは1ヵ月でも100時間以上となれば労災認定基準にも該当し、使用者の安全配慮義務違反にも問われかねませんので十分な配慮が必要です。

最後に専門業務型裁量労働制について説明します。専門業務型裁量労働制とは、「業務の遂行の手段および時間配分の決定等を、使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚労省令で定める業務(19業種)の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者をその業務に就かせた場合に、その労働時間は労使協定で定めた時間働いたこととする。」というものです。

専門業務型裁量労働制を導入する要件…労使協定で次の事項を定めて届出ること。

  1. 対象業務…新商品もしくは新技術の研究開発等の業務など

  2. 労働時間として算定される1日当たりの労働時間数

  3. 対象業務の遂行の手段、時間配分について、労働者に対し具体的な指示をしないこと

  4. 対象業務に従事する労働者に対し、その労働時間の状況に応じた健康・福祉を確保するための措置を労使協定で定めたとおりに講ずること

  5. 対象業務に従事する労働者からの苦情処理措置を労使協定に定めるところにより講ずること

  6. 労使協定の有効期間(3年以内が望ましい)

  7. 次の記録を労働者ごとに労使協定の有効期間中と有効期間満了後3年間保存すること
    ‖仂欟般海暴昌する労働者の労働時間の状況、健康・福祉確保措置として実施した措置
    ∀働者からの苦情処理に関して実施した措置


  8. ※専門業務型裁量労働制において、プロジェクトチームを組んで開発業務を行っている場合で、チーフにより指示されたり時間配分が行われているものは対象外となりますので、注意が必要です。

日本の労働生産性は、ドイツに比べかなり低い(日本1に対しドイツ1.5)と言われています。多様な働き方を採用し、かつ労働時間を適正に管理して、労働生産性を上げていくことが懸命な方法かと思います。

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