パート社員の社会保険加入

  • 2017.02.25 Saturday
  • 17:23
熊本の社会保険労務士 家入です。
今回はパートタイマーの社会保険加入について、考えてみたいと思います。

平成28年10月から社会保険の適用拡大が実施されています。週20時間以上働く人で、従業員501人以上の会社に勤めている等の要件にあてはまれば適用対象です。(29年 4月1日からは従業員500人以下の会社でも、労働者と使用者が合意すれば、加入対象となります。詳しくは厚労省のホームページをご参照ください。)

今現在、従業員数 500人以下の企業の社会保険加入要件は次のようになっています。
・週の所定労働時間及び一ヵ月の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上

今巷では、「130万円の壁」といわれて、これを超えると手取り収入が減るので、働くことを制限する方が得だと言う考え方があります。次にこのことについて考えてみたいと思います。以下厚生労働省のモデルを参照に説明したいと思います。
(日本年金機構によると社会保険の加入要件は、「週の所定労働時間及び一ヵ月の所定労働日数が常時雇用者の 4分の3以上」と明記されています。つまり130万円は加入要件ではなく、被扶養認定基準であり、保険料を自分で払うか払わないかの基準です。)

仮に月収を88,000円とすると、社会保険料は労使折半なので、従業員は年金分が月額8,000円、健康保険分が月額4,400円となります。この条件で社会保険に20年間加入すると、年金額が月額9,700円増加します。収入が多くなれば多くなるほど年金額は増えます。平均寿命が永くなり、女性では90歳に迫ろうと言う勢いです。元気なうちに働いて将来に備えるという考えも1つの方法です。また、健康保険には傷病手当金と言う制度があり、業務外の病気や怪我で会社を休み収入が得られなくなった場合に、支給要件を満たせば手当金が支給されます。働く者にとっては助かる制度です。

社会保険料の負担はありますが、病気や怪我または将来の生活のための備えとしては有効な方法の
一つではないでしょうか。『備えあれば憂いなし』と言う言葉もあります。







労働契約と就業規則

  • 2016.09.19 Monday
  • 12:13
社会保険労務士の家入です。

従業員の採用時に、個別に労働契約を締結したとします。その契約内容が就業規則の内容と相違していた場合に、どの様な問題が生じるのか考えてみたいと思います。

労働契約法では、12条において
『就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分について は、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。』
とあります。

『企業経営の観点から、労働条件を引き下げる必要が生じて、個々の従業員がこれに同意していても、個別労働契約によって引き下げはできない。』つまり、就業規則の規定が最低基準としての効力を要することになります。労働条件を変更しようとする場合は、労働協約又は就業規則の改正ということになります。

ここで、判例を見てみたいと思います。

  • 賃上げ率と賞与支給率を維持できない小企業が、労働者の同意を得て、賃上げと賞与をより低い率で支給し続けた。これに対し労働者は、就業規則のとおりの率での支給を請求した。

    【判決】就業規則の基準を引き下げる労働契約が黙示に成立していたとして、『請求棄却』((有)野本商店事件 東京地裁判 平9.3.25)


  • 使用者と組合が、退職金について支給率を変更するための交渉を開始し、交渉妥結までの暫定措置として、算定額をその年の基本給額に凍結することを、口頭で合意した。これに対し退職者が、就業規則どおりに賃上げ額を反映した退職金の支払いを請求した。

    【判決】労使合意が労働契約の内容となったとし、『請求棄却』(朝日火災海上保険 最二小判 平6.1.31)


以上の判決のとおり、労働契約法第12条を考慮しつつも、最終的な判断は司法の場によるものと考えられます。社会保険労務士の立場としては早急な判断は避け、慎重な対応が求められるところです。



参考図書:菅野和夫 『労働法 第九版』弘文堂



目標管理制度

  • 2016.07.24 Sunday
  • 20:22
社会保険労務士の家入です。

近年の人事制度の趨勢は、成果主義人事制度という流れにあるようです。成果主義人事制度は「仕事の成果に対して報酬を支払う制度」と、一般的に理解されています。

問題は、成果をどのように表すかということです。営業などは売上高や営業利益という数字で目標を決定することができるので、目標設定は比較的簡単かと考えられます。しかし、総務部門などの数字で表しにくい部門の場合は目標設定が困難かと考えられます。成果主義を導入しようとしても、客観的な目標設定が出来るかどうかが問題になります。

ここで、「目標管理制度の導入」が有効であると考えられます。目標管理制度とは、期首に上司と面談の上今期の目標設定を行い、期中に面接を通して修正を行い、期末に設定した目標の評価を行うというものです。そしてまた来期の目標設定を行います。

多くの場合、目標達成について評価を行い、報酬制度と結びつけるということが行われるわけですが、前述しましたように営業職などの評価は客観的に行えますが、総務などの管理部門の評価は客観的に評価するのが困難です。各個人の目標は、会社目標と一致したものである必要がありますので、その意味においても数字で客観的に評価しにくい管理部門等は評価が困難です。

ここでの問題は、報酬制度と結びつけたことにより、全社的に整合性がとれるように客観的に評価する必要が生じたものと考えられます。営業部門と管理部門の整合性を保つことが必要になります。その作業は困難を伴い、多大な労力を必要とするものと考えられます。

よって、この問題を解決するための方法として、目標管理制度と報酬制度を別にすることが考えられます。報酬制度と切り離すことにより、評価時における賃金の全社的な整合性を図る必要が無くなり、担当者の作業量は大幅に削減されます。一方で企業の目標と各個人の目標を整合性をもって設定でき、その目標を達成することにより会社目標の達成を図ることができるものと考えられます。





職務給と職能給

  • 2016.07.16 Saturday
  • 21:09
社会保険労務士の家入です。

日本の多くの企業では、賃金制度として「職能給」を導入していると考えられます。職能給とは「職務遂行能力に対して給料を支払う」というものです。特徴として「人の能力は生涯を通じて伸びていく」という考えのもと、勤務年数が長くなれば、比例して能力は伸びていく。⇒能力が伸びれば賃金も上がっていく。という制度です。

「職能給」が多くの企業で採用された理由として、

  • 人事異動が容易に行える。

  • 賃金が勤務年数と共に上昇するので、従業員の定着率がよくなる。

  • 生活給との関連で、職能給を導入しやすかった。

などのメリットがあります。
長期雇用を前提に配置転換等を実施し、多様な能力を身に付けさせ、全社的な視点で業務を行うことにより効率的な経営が可能となります。日本企業は、知識と経験が社内に蓄積していくことにより、強い競争力を発揮してきました。

しかし、円高、人件費の高騰や海外企業との競争の激化などにより「職給」
を維持していくことは困難な状態になっています。新たな賃金制度として「職給」の導入が進んでいます。

「職給」は仕事と職務を結び付けて賃金を決定するというものです。欧米の多くの国で採用されている制度です。職務により賃金が決まるので、年功的に賃金が上昇していくといったことが無く、原則「同一労働同一賃金」です。デメリット(日本企業としての)として、職務の変わる配置転換を行いにくい面があります。つまり、「その職務がなくなった場合にどうするのか」という問題がおこる可能性があります。(職務変換を行えば賃金が変わる。)

世界の趨勢は「職務給」なので、日本企業においても対応していかざる負えないでしょう。いきなり「職給」から「職給」に変えることは混乱を招く恐れがあるので、日本の職場環境に合った制度を導入していく必要があります。一つの答えとして職責などの役割の大きさにより賃金を決定する「役割給」があげられます。
いずれにしても、日本の労働環境に合った賃金制度を導入していくことが重要です。


賃金の決定要因

  • 2016.07.01 Friday
  • 20:13
社会保険労務士の家入です。

「最低賃金の引上げ」や「同一労働同一賃金」など、賃金について議論が活発に行われています。今回は短時間労働者の賃金について考えてみたいと思います。

一般的に「アルバイト」や「パートタイマー」といわれる人たちの賃金が正規社員に比べ低水準となっています。

ところで賃金は、どのような要因で決定されているのでしょうか?新卒で入社する社員は、一般的に会社規模や本人の学歴などにより決定されていると考えられます。それでは、中途採用の正規社員はどうでしょうか?経験・実績、年齢などでしょうか。

一方、アルバイトやパートタイマーといわれる人たちの賃金決定要素は?…
職種・地域による相場などでしょうか。

新聞記事によると、コンピューター関連技術者など高い技術力を持った人材は引っ張りだこのようで、企業が派遣会社に支払う料金は、時給4000円程度ということです(あくまで派遣会社に支払う料金です)。派遣料金は上昇傾向にあり、人材派遣会社は強気の営業をおこなっているとのことです。

一方、パートタイマー等の賃金は、働く側の事情(近隣で働きたい、扶養内で働きたい等)の理由と「事業主」と「働く側」との力関係により決定されているという趣旨の記述がありました。働く側の事情により職業選択の幅が小さくなり、労働力の移動が起こりにくくなる。結果として勤続年数が長くなり、賃金の上昇が抑えられるということのようです

「一般的に勤続年数が長いのは良いことである」と思っていましたので、様々な見方があると感心しました。

市場経済の原則に従えば、需要と供給の関係により「希少価値が増せば、価値は上がる」ということです。コンピュータープログラマーや高度な知識を持った技術者などは賃金が上昇し、そうでなければ市場原理により賃金は上がらないということです。

記事(研究者の執筆であったと記憶しています。)によると、パートタイマー等の最低賃金をある程度上げても(限界はあるが)解雇に影響は無いとの研究結果があり、「仕事内容と賃金のバランスがつり合う水準まで最低賃金を上昇させる余地は有る」とのことです。研究結果からも最低賃金の引上げは可能なようです。

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